「真の王」  06.01.01
         マタイ2:13〜23

 クリスマスに、救い主がお生まれになったということは、この世界が
救いの希望のある世界になったということです。神さまは、世界を絶望で
終わらせることを望まず、救いの道を開いてくださいました。
 聖書には、ヘロデ王が幼い子どもたちを虐殺したという、大変恐ろしい
ことが描かれています。周りには、ヘロデの暴君ぶりを止められる者が
いませんでした。宗教改革者のルターは、「神さまに背く悪魔や、罪の
世界が、幼いイエスさまを恐れ、一生懸命に滅ぼそうと残虐なことをした。
 しかし、イエスさまを滅ぼすことは出来なかった」と言います。確かに、
この場面で、闇は光に勝てなかったことを知らされています。

 年末に、大変悲観的な見方で2005年を振り返っているのを見かけました。
 「競争の旗印の下、欺瞞、出し抜き、拝金主義がはびこる社会。
相互不信、敵意があふれ、今後もそれが続くと予感させる、むごたらしい社会。
荒野の風景だ」と嘆く新聞記事がありました。昨年のキーワードを「信の崩壊」、
「倫理の崩壊」、「破壊」と言い表す人たちが出演しているTV番組がありました。
残念なことに、そのような悲観的な見方にうなずきたくなります。

 いつの時代も、人間の罪の深さ、広さ、多様さがあります。そこから来る
問題を解決できない人間の力なさがあります。ヘロデ王の時代に限らず、
いつの時代も、むごたらしい荒野の風景が広がっています。
 しかし、荒野のむごたらしさだけに目を奪われるのではありません。
 そのむごたらしい世界に、救い主がいないのではありません。
 もうすでに、来てくださいました。救い主がおられることに目を注ぐべきです。

 聖書は、「預言者を通して言われていたことが実現した」と繰り返し
語りかけてきます。
 そのむごたらしい出来事にもかかわらず、神さまは、救いの計画を
中断されずに、実現してくださったということです。
 私たちは、そのような神さまを知るゆえに、絶望でなく、希望の中で
今年も進んでいけるのです。